自動車用バッテリーの最適な補充電方法の考察

数年間使い込んだバッテリーを一般ユーザー向けとして売られているフツーの充電器で充電をすると、すぐに充電が終わってしまって拍子抜けする事がよくある。

疲れたバッテリーを効率よく充電するには、ある程度の高い電圧が必要であるところ、一般ユーザーが気軽に扱えるよう多くの充電器で安全な範囲の電圧に制限されており、上手く充電されないうちに充電終了となってしまう。

バッテリーの充電方式はいくつかあるけど、今一度おさらい。

定電流充電

鉛蓄電池の標準的な充電方式(JIS D5301 9.2 a)

定電流充電のイメージ

電流を制御し、電圧は制御されない充電方式。※最大電圧は機器の能力や安全装置により実質的に制限される

車載機器の損傷防止のため、必ず車両からバッテリーを切り離して充電する必要がある。

バッテリーの取り扱い説明書には普通充電電流の記載があり、特別な場合を除いて5時間率容量の1/10の電流(5時間率電流の1/2)または20時間率電流の2倍の電流が指定される。
規定電流で充電中の端子間電圧または比重を15分毎に測定し3回連続で一定となれば満充電とする。
充電初期から終期まで一定の電流が流れるので時間効率が良く充電量の把握がしやすいが、バッテリーの状態によっては充電電圧が高くなり車両ECUの破損などの恐れがあるため車載状態での充電を避けるなど注意が必要。
ガスの発生が多い≒液減りが多いので液補充の出来ないバッテリーには適さない。

定電流方式は安価な製品に採用される。
簡易的な方法で電流制御されているため完全な定電流とはならないが、開放形バッテリーを充電するのに適している。

定電圧充電

電圧を制御し、電流は制御されない充電方式。※最大電流は機器の能力や安全装置により実質的に制限される

定電圧充電のイメージ

14V~16V程度の定電圧で、電流制限は設けず成り行きに任せるためバッテリーの容量(大きさ)と充電電流を気にする必要がない。

自動車のオルタネーターによる発電・充電がこれにあたり14V前後に設定されている。

バッテリーの容量・状態により充電電流が変わるので充電量の把握がしにくく、充電が進むと充電電流が小さくなっていくので時間効率が悪くなる。
内部がショートするなどした不良バッテリーを充電した際には意図せず大電流が流れ短時間で液が減ることがある。

定電流-定電圧充電

鉛蓄電池の標準的な充電方式(JIS D5301 9.2 b)

定電流定電圧充電のイメージ

電流と電圧を制御する方式。
一般向け充電器で多く採用される。

JIS D5301 9.2 bの規定では16V±0.05Vかつ20時間率電流の5倍の電流制限で24時間充電されるところ、一般向け充電器においては車載機器を損壊しないようにJIS D5301 9.2 bの規定よりも低い電圧となっている。

フロート充電

フロート充電のイメージ

フロート電圧(満充電時にバッテリー電圧と充電電圧が釣り合って充電電流がゼロとなる電圧、通常は13.6V前後)によって充電する定電圧充電の一種。
原理的に過充電とならないが、バッテリーの劣化度合い(内部抵抗)によってはいつまでも充電されない。
バイクや農機具などのオフシーズン時の維持充電、UPSなどの非常電源に使われる。

トリクル充電

フロート電圧より僅かに高い電圧により、自己放電を補う程度の微少電流で充電される。
用途はフロート充電とほぼ同じ。

市販充電器の何が問題か

様々な電池や充電機器の資料を読みあさり行き着いた結論として、一般向け充電器の多くで、特に充電制御・アイドリングストップ車において使用過程のバッテリーを満充電とするには電圧が不足していた。

ほとんどの市販充電器でバッテリー上がりなどトラブルからのリカバリーには十分な性能があって、80%程度までは何の問題もなく充電出来る一方で、補充電という用途では十分な性能が得られない。

残りの20%を完全に充電しようとすると、車載状態での充電には適さない16V以上の高い電圧が必要となる。

市販充電器の充電イメージ

国内最大手バッテリーメーカーであるユアサの充電器の取説にさえ「※この充電器は、バッテリーの種類によっては比重が上がらない~略」との注意書きがあるが、要するに満充電には出来ない事もありますよと言うことだ。

バッテリーの寿命延長を期待して定期的に補充電してるつもりが、実はほとんど充電されていなかったなんて事がそこら中で起こっている。

走行充電(ユアサによる実験の記事)で満充電とならないからこそ充電器で充電しようというのに、満充電にする能力の無い充電器で充電する意味なんかないのでは。

とはいえ、充電器の側からバッテリーの充電状態を正しく判断するというのが難しい上に、一般ユーザーが手軽に扱えるよう安全率を大きく取るしかないので、仕方がないといえば仕方がないのかも。

結論

バッテリーを現実的な所要時間で満充電にするには、16Vを制限電圧とした定電流-定電圧充電、16Vでの定電圧充電、定電流充電の3つの方法が適している。

いずれの充電方法を採るにせよ、効率的にバッテリーを満充電にするには16V以上の電圧を要するので、安全のためにバッテリーを車両から切り離して充電する必要がある。

こだわる人にこそシンプルでハードボイルドな充電器が合っている。
バッテリーを車両から下ろせだとか、車両のマイナス端子は切り離せ壊れても知らんぞなどととにかく注意書きがうるさいやつが良い。

昔ながらの重たい充電器にはトランスが使われ、準定電流で充電される。
そのためJIS D5301の定電流充電に近い充電が可能。

定電流方式だけど安くてオススメ

RCシリーズの箱書きには「トランスタイプだから出来るフル充電!」

大自工業さん流石わかっていらっしゃる。

あとは、全自動タイプであればアイドリングストップ用バッテリー対応などと記載がある充電器なら出力電圧が高いので良いかもしれない。

自動車が趣味でもあったので、ついつい高くて高機能のものを買い求めたのが間違いのもとだった。能書きだけは立派な軟弱な充電器のなんと多い事よ。

「結構良い充電器買ったのに全然充電されねえじゃん!なにコレ!」と原因の追及を始めたけど、バッテリーはナマモノなんて言われるだけあって手軽さと完璧を両立させる事は難しいんだね。

おしまい

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