自動車用バッテリーの最適な補充電方法の考察

数年間使い込んだバッテリーを一般ユーザー向けとして売られているフツーの充電器で充電をすると、すぐに充電が終わってしまって拍子抜けする。一体この現象は何なんだと言うことでちょっと勉強した事をまとめたやつ。

一般向けバッテリー充電器の問題

液栓付きバッテリーの取扱説明書には、ほぼ例外なく普通充電時の充電電流と充電時間の記載があり、満充電するには放電量の1.2倍ほど充電する事になっている。

※普通充電=定電流充電

出典 ユアサ

たとえば、容量60Ahで充電状態75%のバッテリーを普通充電により満充電するには6A×3時間=18Ahの充電が必要になるのだが、

定電流-定電圧充電のイメージ

一般向け充電器に採用されがちな定電流-定電圧充電という充電方式の特性上、充電中期から終期にかけて充電電流が徐々に低下し容量の80%ほどまで充電されると時間がいくらあっても足りないレベルにまで低下する。6A設定で充電をしても必ずしも6Aで充電されるとは限らないってこった。原理上は80%の充電で止めずに充電を続ければいつかは満充電に達するが、いつまでも充電が止まらないというクレームの元となったり安全上の問題があるのでタイマー機能で充電を止めてしまう。

実際のケース

64Ah充電状態60%ほどのバッテリーをDr.CHARGER DRC-600に繋ぎ「6Aで4時間ちょいだな」つって充電を始めても1時間チョイでけたたましいアラーム音が鳴って充電が終了したりする。

この時、まだ仕組みをよく知らなかったので単純に「64Ahが60%(比重から)だから6A設定で4時間ちょい25.6Ah充電されたらフル充電」って考えてた。

実際には定電流-定電圧充電の特性上、充電中期から充電電流の低下があるので確実に(満充電まで)4時間以上掛かるのに、1時間チョイでは気休めにすらならない。

ちゃんと書いてあった

別にこれで良いといえば良いんだけど・・・僕らのような変人は100%フル充電したいし、されると思って甲斐甲斐しく季節の変わり目なんかに補充電したりしていたじゃないですか。

充電したつもりがされていない。これはある種の裏切りだと思うんですよ。

もろもろ学習して分かったことは、満充電にしたけりゃ継続して16V以上出る充電器を使えって事です。

結論

定電流充電最強
普通充電と規定されるだけの意味がある。

定電流充電とともにJIS D5301に規定されている定電圧充電も良い。

結局のところ、全自動充電器で主流の、定電流充電と定電圧充電を合体させた定電流-定電圧充電方式では手軽に充電出来るというメリットがある反面、かゆいところまには手が届かなかった。

こだわる人にこそシンプルでハードボイルドな充電器が合っている。
バッテリーを車両から下ろせだとか、車両のマイナス端子は切り離せ壊れても知らんぞなどと、とにかく注意書きがうるさく、無骨で古くさいやつが良い。

昔ながらの重たい充電器にはトランスが使われ、準定電圧で充電される。

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定電圧方式だけど安くてオススメな大自工業(メルテック)RCシリーズの箱書きには「トランスタイプだから出来るフル充電!」と、全自動タイプの充電器(スイッチング方式)と差別化する記載がちゃんとあって、わかっていらっしゃると感心した。

あとは、全自動タイプであればアイドリングストップ用バッテリー対応などと記載がある充電器なら出力電圧が高いので良いかもしれない。

自動車が趣味でもあったので、ついつい高くて高機能のものを買い求めたのが間違いのもとだったとは。能書きだけは立派な軟弱な充電器のなんと多い事よ。

様々な充電方式

鉛蓄電池の標準的な充電方式(JIS D5301 9.2 a)、普通充電

定電流充電のイメージ

電流を制御し、電圧は制御されない充電方式。※最大電圧は機器の能力や安全装置により実質的に制限される

バッテリーの取り扱い説明書には普通充電電流の記載があり、特別な場合を除いて5時間率容量の1/10の電流が指定される。(例:5時間率容量60Ahの場合は充電電流6A)
規定電流で充電中の端子間電圧または比重を15分毎に測定し3回連続で一定となれば満充電とする。

充電初期から終期まで一定の電流が流れるので時間効率が良く充電量の把握がしやすいが、バッテリーの状態によっては充電中の電圧が高くなり車両ECUの破損などの恐れがあるため車載状態での充電を避けるなどの注意が必要。

ガスの発生が多い≒液減りが多いので液補充不可のバッテリーには適さない。

定電流方式は安価な製品に採用される。
簡易的な方法で電流制御されているため完全な定電流とはならないが、開放形バッテリーを充電するのに適している。

電圧を制御し、電流は制御されない充電方式。※最大電流は機器の能力や安全装置により実質的に制限される

定電圧充電のイメージ

14V~16V程度の定電圧で、電流制限は設けず成り行きに任せるためバッテリーの容量(大きさ)と充電電流を気にする必要がない。

自動車のオルタネーターによる発電・充電がこれにあたり充電電圧は14V前後に設定されている。

バッテリーの容量・状態により充電電流が変わるので充電量の把握がしにくく、充電が進むにつれ充電電流が小さくなっていくので時間効率が悪くなる。
内部がショートするなどした不良バッテリーを充電した際には意図せず大電流が流れ短時間で液が減ることがある。

鉛蓄電池の標準的な充電方式(JIS D5301 9.2 b)

定電流定電圧充電のイメージ

電流と電圧を制御する方式。
一般向け充電器で多く採用される。

JIS D5301 9.2 bの規定では16V±0.05Vかつ20時間率電流の5倍の制限電流で24時間充電されるところ、一般向け充電器においては車載機器を損壊しないようにJIS D5301 9.2 bの規定よりも低い充電電圧となっている事が多い。

フロート充電のイメージ

フロート電圧(満充電時にバッテリー電圧と充電電圧が釣り合って充電電流がゼロとなる電圧、通常は13.6V前後)によって充電する定電圧充電の一種。
原理的に過充電とならないが、バッテリーの劣化度合い(内部抵抗)によってはいつまでも充電されない。
バイクや農機具などのオフシーズン時の維持充電、UPSなどの非常電源に使われる。

フロート電圧より僅かに高い電圧により、自己放電を補う程度の微少電流で充電される。
用途はフロート充電とほぼ同じ。

おしまい

コメント

  1. […] しかし、自動車用バッテリーの最適な補充電方法の考察なんていう記事を書いてみたりしてるので、検証ついでに悪あがきしてみようと思い立ちまして。 […]

  2. […] 自動車用バッテリーの最適な補充電方法の考察でも長々としょうもない事を書いてるが、この試験の結果はオルターネーターの出力電圧(13.5~14.5V程度)では満充電になりにくい事を裏 […]

  3. […] こういうバッテリーは自動車用バッテリーの最適な補充電方法の考察で長々と書いたように市販の充電器では充電されにくい。 […]

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